SSブログ

結末しかしらない [自作小説]

 

 どうか、一緒になってください。
 何度も言い続けたその台詞に飽きたように、彼はまたかと頭を降った。


 どうしてそこまで俺にこだわる?
 あなただからです。

 第一、お前はどうなりたい?
 貴方と幸せになりたい。
 
 本当に俺と一緒になる覚悟があるのか?
 勿論。

 なら、その根拠はなんだ? お前には未来が見える能力があるとでもいうのか?
 彼は馬鹿にしたように鼻で笑った。


 未来は見えない。
 けれど、私達の未来なら分かります。
 きっと貴方は、横で笑っている。
 きっと私は、貴方を幸せにする。

 だから貴方は、私とずっと一緒にいてほしい。それだけが一番に、それだけしか私は望みません。


 そう言うと、彼は恥ずかしい奴、と囁いた。

 忘れるなよ、俺はいつだってお前を見限ってやる。
 自惚れるなよ、お前なんか大した力も持っていないんだ。
 調子に乗るなよ、俺はお前に大好きとは言ってやらねぇ。

 それでもいいのか?
 彼は試すように、ちらりと見上げる。
 返事の代わりに、きつく抱きしめた。
 彼は真っ赤になったまま、何も言わなかった。


 嗚呼、愛しい人。
 きっとこれが、未来のかたち。

 

お題提供 月と戯れる猫


 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。