結末しかしらない [自作小説]
どうか、一緒になってください。
何度も言い続けたその台詞に飽きたように、彼はまたかと頭を降った。
どうしてそこまで俺にこだわる?
あなただからです。
第一、お前はどうなりたい?
貴方と幸せになりたい。
本当に俺と一緒になる覚悟があるのか?
勿論。
なら、その根拠はなんだ? お前には未来が見える能力があるとでもいうのか?
彼は馬鹿にしたように鼻で笑った。
未来は見えない。
けれど、私達の未来なら分かります。
きっと貴方は、横で笑っている。
きっと私は、貴方を幸せにする。
だから貴方は、私とずっと一緒にいてほしい。それだけが一番に、それだけしか私は望みません。
そう言うと、彼は恥ずかしい奴、と囁いた。
忘れるなよ、俺はいつだってお前を見限ってやる。
自惚れるなよ、お前なんか大した力も持っていないんだ。
調子に乗るなよ、俺はお前に大好きとは言ってやらねぇ。
それでもいいのか?
彼は試すように、ちらりと見上げる。
返事の代わりに、きつく抱きしめた。
彼は真っ赤になったまま、何も言わなかった。
嗚呼、愛しい人。
きっとこれが、未来のかたち。
2012-09-30 05:00
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